八十八夜(5月2日)も過ぎ、新茶がおいしいシーズンだ。春先の天候不順で主産地の静岡では収穫の遅れはあったものの、「例年並みの品質」(静岡県茶業農産課)という。新茶ならではの「香りと味」を楽しみ、緑茶が持つ健康面でのメリットも考えたい。(谷内誠)
東京・日本橋高島屋内の茶専門店「Tea.Pi.O.(ティピオ)」の店長、安藤梢さんが言う。
「全国でも早い時期から茶摘みが行われる鹿児島産に続いて静岡産も入って、店頭で新茶の香りを確かめるお客さまが増えています。東京周辺では静岡や埼玉の狭山茶などキリッとした味が人気ですが、鹿児島茶の甘みの新鮮さに親しまれる方も出ていますね」
◆ベストは80度
安藤さんにおいしいお茶のいれ方を聞くと、「沸騰したお湯をいったん80度ほどに冷まし、大さじ2杯(約8グラム)の茶葉に約210ミリリットルのお湯を注いでください。ポットの熱いお湯では茶葉がやけどします。ひと手間かけてゆったりとお茶を楽しんでもらいたい。1せん目は甘さを、2せん目には熱めのお湯ですっきりした味わいもでます」とアドバイスしてくれた。同店では1500〜2000円(税別、各100グラム)の新茶が人気という。
一方、東京・築地の専門店「茶の実倶楽部」では、今年1月から出している「お茶プレッソ」が人気だ。コーヒーを高圧の湯で抽出するように日本茶をエスプレッソマシンでいれる。「煎茶(せんちゃ)よりも濃く、抹茶より透明な色合いで新しい飲み方の提案」(広報担当の土屋葉さん)といい、店頭のみで茶菓子付き100円で提供中だ。
◆食後が大切
東京家政学院大の海野知紀准教授は「緑茶に含まれるポリフェノールの一種であるカテキンが健康に良いと広く知られるようになりましたが、お茶を好んで飲む日本人は健康にプラスに働くことを無意識のうちに長年続けてきました」と指摘。そのうえで、「カテキンには脂肪吸収をブロックする効果があり、空腹時よりは食事中や食後に飲むことが大切です。食生活全体の中でのお茶の位置付けを考えたい」と、お茶の栄養学的観点から提案する。
■カテキン効果 脂肪5%減
緑茶カテキンはメタボリックシンドローム解消にも効果がある。
伊藤園中央研究所(静岡県牧之原市)の提坂(さげさか)裕子所長らの研究グループは昨年、20〜60代の女性を対象に調査。340ミリリットル当たり約200ミリグラムのカテキンを含む飲料と含まない飲料を別々のグループに1日2本ずつ飲んでもらい、12週後に体脂肪の低減度をコンピューター断層撮影(CT)を使って調べた。
その結果、腹部の皮下脂肪と内臓脂肪の総面積の比較で、カテキン飲料を飲んだ18人が299・8平方センチ(平均)から284・2平方センチ(同)と5・2%減少。含まない飲料を飲んだ20人のグループは287・8平方センチ(同)から287・7平方センチ(同)とほとんど変化がなかった。
提坂所長は「2グループとも摂取カロリーや運動量に差はない。カテキン飲料を飲んだグループが5%(面積比)の脂肪を減らせたことで、カテキンの効果がはっきりした。緑茶にはさまざまな効果・効能があることが分かっている。お茶だけで病気は予防できないが、健康につながることを意識し、毎日おいしく飲んでもらいたい」と話す。
この研究内容は21日から徳島市で開かれる第64回日本栄養・食糧学会で発表される。
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